転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

エマは大きく息をついて、右手を握りしめた。

(レミリア様、よく言ってくださった! 完璧な解答よ)

のっけからこの選択肢は引っかけだ。

おそらく多くのプレイヤーが①を選択してしまうことだろう。

由奈にセーブせずに全選択肢を試させた結果、一番親密度が上がる選択肢は③であった。

王太子は自分の容姿を手放しで褒めまくられるのが好きではないのだろう。

それともあれ程までに整った顔をしていても、どこかにコンプレックスがあるのかもしれない。

それで容姿の話から急に茶葉の話に転換した……というのが正解なのだ。

周囲の貴族たちの中には、この娘はなにを言っているのかというように眉をひそめている者がいる。

話を振ってくれた夫人も、会話下手ねと言いたげな目をレミリアに向けていた。

けれども王太子の涼やかな瞳は三日月に細められ、麗しい唇は嬉しげに弧を描く。