「私は招待客ではないので従者の控室にいなければなりません。付き添えないのが不安で仕方ありませんが、レミリア様を信じて待っていますので、ぜひ、ぜひ、ぜひとも!頑張ってきてください」
「バラを見てお茶を飲んで、世間話をすればいいのでしょう? それくらい私にだってできるわ。頑張る必要ないわよ」
馬車は門兵の立つ城門をくぐり、石畳のアプローチの奥にそびえる大邸宅に向けてゆっくりと進む。
尖塔をたくさん備えた王族の住まう館だ。
広大な前庭は緑や池が美しく整備され、この馬車の前後には他の招待客の馬車も続いていた。
エマとレミリアが大邸宅の玄関前で馬車を降りたら、それぞれに王城の使用人から声がかけられた。
レミリアを会場のバラ園へ、エマを従者の控室に案内する係の者である。
なぜ名乗る前からエマが招待客ではないと気づかれたのかというと、見た目からしていかにもモブ侍女であるからだろう。
レモンイエローのワンピースはよそ行きであっても、平凡すぎる顔はモブ中のモブである。
「レミリア様、くれぐれも――」
「わかってるわよ。子供じゃないんだから、そんなにうるさく言わないで」
「バラを見てお茶を飲んで、世間話をすればいいのでしょう? それくらい私にだってできるわ。頑張る必要ないわよ」
馬車は門兵の立つ城門をくぐり、石畳のアプローチの奥にそびえる大邸宅に向けてゆっくりと進む。
尖塔をたくさん備えた王族の住まう館だ。
広大な前庭は緑や池が美しく整備され、この馬車の前後には他の招待客の馬車も続いていた。
エマとレミリアが大邸宅の玄関前で馬車を降りたら、それぞれに王城の使用人から声がかけられた。
レミリアを会場のバラ園へ、エマを従者の控室に案内する係の者である。
なぜ名乗る前からエマが招待客ではないと気づかれたのかというと、見た目からしていかにもモブ侍女であるからだろう。
レモンイエローのワンピースはよそ行きであっても、平凡すぎる顔はモブ中のモブである。
「レミリア様、くれぐれも――」
「わかってるわよ。子供じゃないんだから、そんなにうるさく言わないで」


