頬を赤らめてくれたということは、愛らしい令嬢になれる素質はある。

ひねくれ者の殻を破って素直になれたら、きっと上手に恋愛できるようになるだろう。

「レミリア様、そこですよ。そのドキッをちゃんと言葉にして返してください」

エマは猫のパペットの口をパクパクさせる。

「まぁ、お世辞がお上手ですわね。でもわたくしも乙女ですから、そのように褒めてくださったらときめいてしまいますわ。はい、復唱してください」

「む、無理よ。そんな恥ずかしいこと言えないわ」

「こういう会話に慣れてくださらないと困るんです。言わないと今日の自由時間はなしですよ」

凄みを感じさせる顔をズイと近づけたら、レミリアが頬を引きつらせて頭を後ろに引く。

「最近のエマは迫力があるわね。一体どうしちゃったの……?」

「レミリア様にお幸せになっていただきたいと思っているだけです」

(このままだと追放、幽閉、最悪の場合は処刑。そんな未来が待っているとは、さすがに言えない……)

その時、ドアがノックされた。

応対に出たエマに、メイドが一通の封筒を差し出す。

「レミリア様にお手紙が届きました」