雇い人からの叱責を怒らずに受け止めてくれたのは、いつもムスッとしているレミリアが目を潤ませ、嬉しそうに頬を綻ばせているからだろう。

娘を愛する親心。

シンシアを見習うように言ってしまったのも、レミリアを心配するがゆえで、悪気はないのだ。

「エマの言う通りだわ。ごめんなさい。これからは言葉に気をつけるわ」

夫人も謝ってくれて、ハラハラした面持ちであったシンシアの口からは安堵の吐息が漏れていた。

「お父様もお母様も、レミリアちゃんもエマも、みんな素敵よ」

ウフフと天使の笑顔を見せるシンシアに釣られ、皆も笑う。

家族に乾杯と言いたくなる非常に感動的なムードであるが、エマだけはまだ表情の厳しさを解いていない。

言っておかなければならないことがあるからだ。

「旦那様と奥様にお願いがございます。私にレミリア様を再教育する権限をお与えください。このまま引きこもらせてはいけません。レミリア様には他貴族、特に殿方との交流を頑張っていただこうと思います」

これに真っ先に驚いたのは、レミリアだ。

「私らしくでいいと言ってくれたばかりなのに!?」