レミリアがひねくれ者のままではバッドエンドしかないと思うので、雇い主にだって臆せず意見する。

「ど、どうしたんだ……?」

驚いたような伯爵の真横に立ったエマは、厳しい顔をする。

「レミリア様を引きこもりにさせている主たる原因は、旦那様と奥様にあります。双子比較はおやめください。どんなに傷つくことか。レミリア様はレミリア様です。シンシア様のように、ではなく、レミリア様らしくご自分を高めてくださればよろしいのです」

外の雨音が大きく聞こえるほど、食堂内がシーンと静まり返る。

視線を感じてレミリアの方を向けば、目を丸くしてこちらを見つめていた。

その大きな瞳にジワリと涙が浮かび、素直な言葉が口からこぼれる。

「エマ、ありがとう……」

おそらくずっと、誰かに言ってもらいたかったのだろう。

レミリアの頑なな心が少しだけ解けた気がして、エマはニッコリと頷いた。

モリンズ伯爵の唸り声がする。

「そうだな……。レミリアはレミリアだ。事あるごとにシンシアと比べて、すまなかった」