(由奈は乙女ゲームには興味がないだろうけど、仕方ない。由奈に協力してもらおう)

そう思ったエマは、声を厳しくしてお願いする。

「由奈、私に申し訳ないと思っているなら、やってもらいたいことがあるの。私の代わりに乙女ゲームをやり込んで。攻略までの道筋を教えてほしい」

≪乙女ゲーム……?≫

「そう。私が今生きているのはブルロズの世界。ヒロインのレミリア様を助けられるのは私だけなの。なんとしてもハッピーエンドを迎えさせてみせる!」

スマホに向けて大きな声で宣言すると、くすぐったかったのか、スモフキンが身をよじってワフワフと笑う。

茜色に染まり始めた裏庭で、凡な瞳に闘志を燃やすエマであった。