全ては恵麻を駄目な子にするために。

その結果が……できのいい由奈のほうが大学へ行けることになり、恵麻はブラック企業に就職して死亡。

姉の死に直面し、やっと反省しても時すでに遅し。

由奈は今、後悔に苦しんでいるという。

(私にお菓子の多い方をくれるから優しい妹だと思っていたけど、太らせようとしていたなんて。駄目な私をいつも庇ってくれたのも、改善されたら困るからだったんだ。入れたはずなのに、持って帰ったはずなのに、ということが度々あったけど、まさか由奈の仕業だとは思わなかった……)

愕然とする恵麻に、由奈がしゃくり上げながら言う。

≪幼稚園の頃、恵麻の方がなんでもできたでしょ。悔しくて、つらかった。恵麻と比べられるのがすごく嫌だった。頑張っても追いつけないし、それなら恵麻を落としてやれって思っちゃった。ごめんなさい。許して……≫

その懺悔にショックを受けたエマだが、それよりも『つらかった』という言葉が胸にずっしりと重く響いた。