「シンシア、勝手な解釈しないで。まったく違うわよ。エマに頼んだらダサい髪型にされるから、自分でやりたかっただけ」

(そうよね。レミリア様はそういうお人よね。感動を返して……)

呆れの視線を向けるエマと、とことん可愛くない態度で鼻を鳴らすレミリア。

シンシアは場を取りなすように、慌てて言う。

「レミリアちゃんが気分よく出かけられるお洋服なら、何色でもいいということにしましょう。気をつけて行ってらしてね。私もご一緒したかったけど、お手紙を書かなければいけないの」

最後には、はにかむようにウフッと微笑んだシンシアに、エマは魅了される。

(なんてお可愛らしい。少女の純真さに加え、最近は大人の色気も少しずつ出てきたから、国中の男性が鼻の下を伸ばしそう。もうご結婚が決まっているシンシア様には、お相手以外の男性を近づけさせはしませんけど)

シンシアはモンタギュー公爵家の嫡男、ブライアンに見初められ、めでたく来春に輿入れが決まったところだ。

かなり格上の公爵家との間に強い結びつきができ、モリンズ伯爵夫妻は大喜びであった。