丸く収まったのは、それだけではなく、ローズ家に関してもである。

王太子は二十八年前の青バラ事件の再調査を命じた。

その結果、自分が開発者だと言って王家に生産販売権を売りつけた植物学者が嘘をついていたことが判明した。

真の開発者はローズ家で、植物学者が人を雇って、温室内の青バラを盗ませたのだ。

高齢である植物学者には禁固三十年の刑が言い渡され、王都から遠く離れた孤島の監獄で生涯を終えることになるだろう。

ローズ家の汚名を晴らした王太子は、王族としてローズ家に謝罪し、伯爵の爵位を回復させて領地と財産も返却した。

王家が過去の過ちを認めて謝罪するのは、前代未聞のことである。

権威が揺らぐと、再調査を始めようとした時点で国王に反対されたそうだが、王太子が説得したらしい。

『誰にでも間違いはあります。過ちに気づいた時に保身に走るのか、それとも潔く謝罪するのか。私は後者を選びたい。国を統べる者だからこそ、常に正しい行いを。それが民の信頼を集め、王家のためにもなると信じています。父上、私は謝ることを恐れません』