「軽いな。随分とやつれて……全て俺のせいだ。苦しめて、すまなかった……」

「え……?」

「君がスパイを働いたとする証言を撤回する。レミリアは無罪だ」

レミリアは目を見開いている。

エマはホッとして足から力が抜けそうになり、横にあった椅子の背を掴んだ。

(よ、よかった……)

「どうして、ですか……?」

震える声で問いかけたレミリアに、王太子が澄んだ青い瞳を細めた。

「君なら信じられる。いや、信じたいと思ったんだ。君の言うように、俺は怯えて心を弱めてしまっていた。この国を守れるよう、強く正しくありたい。そのためには君が必要だ。レミリア、また俺が弱気になったら、隣で叱ってくれないか?」

(それは、つまり……)

エマはゴクリと唾をのみ、低めの鼻がつぶれそうなほど顔を壁に押し付けた。

驚いているレミリアの頬を、王太子が優しく撫でる。

「レミリアを妃に迎えたい。こんなに愛しいと思える女性は君だけだ」

「王太子殿下……」

「クリストファーだ。名前で呼ぶ許可を与えよう」

流れる血がなんであれ、彼はまごうことなき王太子で、加えて目の覚めるような美男子だ。