加えて彼はこれまで、王位に就いたときに支持してもらえるようにと、貴族たちとの交流に広く力を注いできた。
自分を嫌う者はいないと自信を持っていたのではないだろうか。
そういうタイプのキャラは、嫌われることに精神的ダメージを受けるのだ。
レミリアは努めて厳しく責め立てる。
「あなたは臆病な卑怯者よ。灯台で私に言ったことは嘘だったのね」
ふたりが岬の灯台で語らったのは、ひと月ほど前のことである。
あの時、王太子は、『俺はいずれ国王になる。国土と臣民を守り、平和で幸せな国をつくる。それが、俺が王家に生まれた使命だと信じている』とレミリアに言った。
それを持ち出して、レミリアは口撃する。
「とても頼もしく感じたのよ。あなたが国王となった時は、今よりもっと平和で幸せな国になると信じたのよ。それが全部嘘だなんて軽蔑するわ」
「嘘ではない。平和を守れる強き王になろうと――」
「違うわ。あなたが守りたいのは自分だけ。保身のために罪なき私やローズ家の人々を消そうとしている。なんて心の弱い統治者なのかしら」
王太子は唇を噛みしめ、苦悶の表情を浮かべていた。
自分を嫌う者はいないと自信を持っていたのではないだろうか。
そういうタイプのキャラは、嫌われることに精神的ダメージを受けるのだ。
レミリアは努めて厳しく責め立てる。
「あなたは臆病な卑怯者よ。灯台で私に言ったことは嘘だったのね」
ふたりが岬の灯台で語らったのは、ひと月ほど前のことである。
あの時、王太子は、『俺はいずれ国王になる。国土と臣民を守り、平和で幸せな国をつくる。それが、俺が王家に生まれた使命だと信じている』とレミリアに言った。
それを持ち出して、レミリアは口撃する。
「とても頼もしく感じたのよ。あなたが国王となった時は、今よりもっと平和で幸せな国になると信じたのよ。それが全部嘘だなんて軽蔑するわ」
「嘘ではない。平和を守れる強き王になろうと――」
「違うわ。あなたが守りたいのは自分だけ。保身のために罪なき私やローズ家の人々を消そうとしている。なんて心の弱い統治者なのかしら」
王太子は唇を噛みしめ、苦悶の表情を浮かべていた。


