苺が食べたいとレミリアに言わせたのは、近侍を遠ざける作戦である。

オズワルドから感じるのは非情になるのも厭わない忠誠心。

レミリアが頑張って王太子の心を揺さぶっても、それを邪魔しそうだから出ていくよう仕向けたのだ。

次にレミリアはチラリとダグラスを見た。

「今日は王太子殿下とお話してもいいと思ったけど、見張られているのは気分が悪いわ」

王太子はすぐにダグラスを下がらせた。

エマが覗いていることは知らず、ふたりきりだと思っていることだろう。

これで彼の出生に関わる話もできる。

「他に望みはないか?」

親切な態度の王太子に、レミリアは悪役のように笑って見せた。

「私の機嫌を取ってどうしたいの? お心遣いに感謝しますとでも言ってほしいの? 私は三日後、理不尽な理由であなたに殺されるのよ。お慕いしていた思いなんか少しも残っていない。大嫌いよ」

王太子は目を逸らし、顔をしかめた。

生まれてこの方、面と向かって大嫌いなどと言われたのは初めてだろう。

ちやほやされて当然の地位にあるのだから無理もない。