「いいえ、私が悪いの。あの時、エマの言うことを聞いていればこんなことにならなかったのに……」
レミリアが王太子のティータイムに誘われたのは、一週間前のことである。
嫌な予感がするから行ってはいけないというエマの注意を聞かなかったことを、レミリアはずっと後悔していたようだ。
レミリアの翠緑色の瞳に涙が浮かび、頬を伝う。
「私、スパイじゃないわ。でも聞いてはいけない話を聞いてしまったのは事実なの。入る部屋を間違えて、そうしたら王太子殿下と侍従の方の会話が隣室から聞こえてきて……」
レミリアはなにがあったのかを教えてくれたが、その聞いてしまった話の内容は口にしない。
王太子殿下の出生の秘密を洩らせば、エマまで捕らえられると気遣っているからだろう。
エマはダグラスに振り向いてお願いする。
「少しだけレミリア様とふたりにしてください」
「わかりました。ドアの向こうに待機していますので」
ダグラスが踵を返し、ドアが開閉された。
レミリアとふたりきりだが、エマは念のため声を潜めて話す。
「王太子殿下は王家の血を引いておらず、ローズ家の者だという話を聞いてしまったのですね?」
レミリアが王太子のティータイムに誘われたのは、一週間前のことである。
嫌な予感がするから行ってはいけないというエマの注意を聞かなかったことを、レミリアはずっと後悔していたようだ。
レミリアの翠緑色の瞳に涙が浮かび、頬を伝う。
「私、スパイじゃないわ。でも聞いてはいけない話を聞いてしまったのは事実なの。入る部屋を間違えて、そうしたら王太子殿下と侍従の方の会話が隣室から聞こえてきて……」
レミリアはなにがあったのかを教えてくれたが、その聞いてしまった話の内容は口にしない。
王太子殿下の出生の秘密を洩らせば、エマまで捕らえられると気遣っているからだろう。
エマはダグラスに振り向いてお願いする。
「少しだけレミリア様とふたりにしてください」
「わかりました。ドアの向こうに待機していますので」
ダグラスが踵を返し、ドアが開閉された。
レミリアとふたりきりだが、エマは念のため声を潜めて話す。
「王太子殿下は王家の血を引いておらず、ローズ家の者だという話を聞いてしまったのですね?」


