転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

「国を守れとはどういうことなのか、よく考えてください。国とは王族だけではありません。この地に暮らす全ての人々のことです。主君が誤って善良な民を傷つけようとするなら、それを正してあげるのが真の忠臣。国を守ることに命を懸ける覚悟がおありでしたら、間違いを犯そうとしている王太子殿下を止めてください」

「エマさん……あなたは一体、何者ですか?」

「私はただの侍女ですが、使命を持ってこの世に生まれてきました。それはレミリア様を幸せに導くこと。レミリア様が処刑されたら私が生きる意味はありません。一緒に死にます」

ダグラスの息をのむ音が聞こえた。

エマのレミリアに対する忠誠心は、彼の騎士魂に訴えかけるものがあり、その瞳にはたちまち尊敬の色が広がる。

ダグラスが頷き、声を潜めて言う。

「レミリア嬢に会わせましょう。ついてきてください」

ふたりは詰所の最奥の階段を二階分下り、地下牢へ。

女性連れのダグラスを、見張りの兵が不思議そうに見ているが、団長に対して問いただすことはなかった。

通路には鉄格子の房が並んでいる。