「し、しかしだな、あまりしつこく意義を申し立てれば、いつぞやのローズ家の二の舞に――」
エマはテーブルを叩いて、伯爵を睨んだ。
「家の存続と娘の命、どちらが大事なんですか?」
エマの迫力に伯爵は息をのんだ。
その後は迷いの中に落とされ、伯爵家を守ることと娘の間で心の天秤を揺らしている様子だ。
それを見ていたシンシアが、スモフキンを放り投げて父親に駆け寄る。
「お父様、お願いします。エマがこんなに頑張ってくれたのに、私たちがただ悲嘆しているだけなんて情けないわ。私も動きます。ブライアン様に嘆願書を書いてくださいとお願いしにいきます。家がお取り潰しになっても私は平気よ。なにもせず後悔するよりずっといい」
「シンシア……」
娘にそこまで言われては、モリンズ伯爵も立ち上がらないわけにいかない。
「王城へ行く」
勇ましい顔でそう言うと、嘆願書の束を懐に入れ、足早に玄関に向かった。
シンシアも婚約者に会う支度をしに、リビングを出ていく。
エマも後に続こうとして、ふらつき、絨毯に膝をついた。
壁際に控えていたメイドが慌てて駆け寄り、エマを心配する。
エマはテーブルを叩いて、伯爵を睨んだ。
「家の存続と娘の命、どちらが大事なんですか?」
エマの迫力に伯爵は息をのんだ。
その後は迷いの中に落とされ、伯爵家を守ることと娘の間で心の天秤を揺らしている様子だ。
それを見ていたシンシアが、スモフキンを放り投げて父親に駆け寄る。
「お父様、お願いします。エマがこんなに頑張ってくれたのに、私たちがただ悲嘆しているだけなんて情けないわ。私も動きます。ブライアン様に嘆願書を書いてくださいとお願いしにいきます。家がお取り潰しになっても私は平気よ。なにもせず後悔するよりずっといい」
「シンシア……」
娘にそこまで言われては、モリンズ伯爵も立ち上がらないわけにいかない。
「王城へ行く」
勇ましい顔でそう言うと、嘆願書の束を懐に入れ、足早に玄関に向かった。
シンシアも婚約者に会う支度をしに、リビングを出ていく。
エマも後に続こうとして、ふらつき、絨毯に膝をついた。
壁際に控えていたメイドが慌てて駆け寄り、エマを心配する。


