シンシアは、ただの綿犬になってしまったスモフキンを抱え、リビングのソファで俯いている。
「お父様、私、結婚するのをやめるわ」
「なにを言う? 婚約式もすませたんだぞ。今さら破棄にはできん!」
「でも、レミリアちゃんがつらい目に合っているのに、私だけ幸せになりたくないわ。ブライアン様だって、罪人を出した家の娘をもらっても困ると思うの」
「ならん、ならん! 今回のことで我が家の権威はがた落ちだが、シンシアが公爵家に嫁げば持ちこたえられる。モリンズ伯爵家のためにお前は嫁にいけ!」
伯爵が声を荒げたら、エマがノックもなくドアを開けて入ってきた。
濃い疲労の滲んだ顔で、服は一週間着替えず、髪もぼさぼさだ。
ただ、その瞳だけは希望を失わず、らんらんと光っている。
「ただいま戻りました」
伯爵に歩み寄ったエマは、封書の束をテーブルに叩きつけるようにして差し出した。
「なんだ、これは?」
封書を怪訝そうに見てから、伯爵がエマを叱る。
「この一大事に、一週間もどこへ行っていたんだ! お前は侍女だろ。レミリアの心配もせず、どこをほっつき歩いていた!」
「お父様、私、結婚するのをやめるわ」
「なにを言う? 婚約式もすませたんだぞ。今さら破棄にはできん!」
「でも、レミリアちゃんがつらい目に合っているのに、私だけ幸せになりたくないわ。ブライアン様だって、罪人を出した家の娘をもらっても困ると思うの」
「ならん、ならん! 今回のことで我が家の権威はがた落ちだが、シンシアが公爵家に嫁げば持ちこたえられる。モリンズ伯爵家のためにお前は嫁にいけ!」
伯爵が声を荒げたら、エマがノックもなくドアを開けて入ってきた。
濃い疲労の滲んだ顔で、服は一週間着替えず、髪もぼさぼさだ。
ただ、その瞳だけは希望を失わず、らんらんと光っている。
「ただいま戻りました」
伯爵に歩み寄ったエマは、封書の束をテーブルに叩きつけるようにして差し出した。
「なんだ、これは?」
封書を怪訝そうに見てから、伯爵がエマを叱る。
「この一大事に、一週間もどこへ行っていたんだ! お前は侍女だろ。レミリアの心配もせず、どこをほっつき歩いていた!」


