「すまない」と呟いたクリストファーは、憐憫の情を込めて、レミリアの唇にキスをした。
* * *
レミリアにかけられた嫌疑はスパイ罪。
王太子に近づいて国家機密を盗み、どこかへ流すつもりであった……というものだ。
その一報はすぐにモリンズ伯爵に伝えられ、一家は衝撃と大混乱に落とされた。
ただちにモリンズ伯爵が王城に出向き、引きこもりのレミリアにはそのような大それたことはできないと意義を申し立てたが聞き入れられず。
自分が証人であると王太子に言われてしまい、許してもらうことは叶わなかった。
それから一週間が経ち、名ばかりの裁判が開かれ、レミリアに処刑が言い渡された。
執行は三日後。
モリンズ伯爵の屋敷内は、どんよりとした重苦しい空気が漂っている。
リビングにてソファに座り、ロザリオを握りしめているのはモリンズ伯爵だ。
「神よ、あんまりな仕打ちではありませんか。なぜ娘を失わねばならないのです……」
伯爵夫人は寝室で臥せっている。
うわごとのようにレミリアの名を呟いては涙を流しているそうだ。
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レミリアにかけられた嫌疑はスパイ罪。
王太子に近づいて国家機密を盗み、どこかへ流すつもりであった……というものだ。
その一報はすぐにモリンズ伯爵に伝えられ、一家は衝撃と大混乱に落とされた。
ただちにモリンズ伯爵が王城に出向き、引きこもりのレミリアにはそのような大それたことはできないと意義を申し立てたが聞き入れられず。
自分が証人であると王太子に言われてしまい、許してもらうことは叶わなかった。
それから一週間が経ち、名ばかりの裁判が開かれ、レミリアに処刑が言い渡された。
執行は三日後。
モリンズ伯爵の屋敷内は、どんよりとした重苦しい空気が漂っている。
リビングにてソファに座り、ロザリオを握りしめているのはモリンズ伯爵だ。
「神よ、あんまりな仕打ちではありませんか。なぜ娘を失わねばならないのです……」
伯爵夫人は寝室で臥せっている。
うわごとのようにレミリアの名を呟いては涙を流しているそうだ。


