転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

「決して誰にも話さないと誓いますので、どうか……」

けれどもクリストファーは許すと言わず、険しい面持ちも崩さない。

「俺の出生の秘密は闇に葬らねばならない。口止めだけで野放しにはできないんだ。レミリア、妃にと考えていた君だが、生かしておけない。残念だ」

レミリアは目を見開き体を大きくビクつかせた後に、膝から崩れ落ちた。

「気を失ったか……」

苦しげなため息をついたクリストファーが、彼女を丁重に抱き上げた。

「オズワルド。レミリアを地下牢の特別房に入れる。女性が好むような家具を入れ豪華に整えてくれ。本もたくさん用意しろ。せめて処刑の日までは、不自由なく暮らせるように……」

「かしこまりました」

オズワルドが出ていくと、クリストファーは長椅子にレミリアの体を横たえた。

意識のない顔をじっと見つめる。

(まだ十六か。若く潤いのある肌に果実のような唇。可愛らしい顔立ちだ。無垢な命を奪う俺の死後は、地獄行きだな……)

できることなら処刑などしたくはないが、危険分子は完全に排除しないと、いつか足元をすくわれそうだ。