高価な贈り物よりも、会いたいと言ってもらえたことが、レミリアの心を弾ませたようである。

そんな家族の喜びに水を差したのはエマであった。

両腕を広げて階段前に立ち塞がる。

「レミリア様、王城へ行ってはなりません」

「えっ、どうして?」

「嫌な予感がするんです。予定があるからと断ってください」

エマは真剣だ。

レミリアを守らなければという思いから、口調も厳しくなる。

「絶対に行ってはなりません。大変なことになりますよ」

レミリアは驚いてから、迷いだす。

エマを信じているので、言うことを聞くべきかと考えているようだ。

けれどもモリンズ伯爵がエマを叱った。

「なにを言っているんだ。誘いを断われば印象が悪くなる。妃候補から外されたらどうするんだ。エマは黙ってレミリアの支度を手伝いなさい」

「旦那様、どうか私の意見を聞き入れてください。レミリア様のためなんです!」

「侍女が邪魔をしてどうする。分をわきまえろ。レミリアは行かせる。これは私の命令だ」

それでもエマは引き下がるわけにいかない。

反論しようと伯爵の方へ一歩踏み出したら、レミリアに抱き着かれて止められた。