由奈と連絡が取れないまま、エマは不安と緊張の二週間を過ごした。

キリキリと胃が痛むが、横になっていては嫌な未来ばかりが浮かんできてしまうので、なるべく体を動かしていたい。

玄関ホールを掃除しながら、リビングから漏れる伯爵一家の弾んだ声を聞いている。

「レミリアちゃん、今日の贈り物はティアラなのね。素敵よ。まるでもう王太子妃になったみたい」

シンシアがウフフと笑い、モリンズ伯爵が上機嫌で言う。

「決まったようなものだろう。いつ王城に呼び出されてもいいように準備しておかないとな」

「まさかレミリアが妃になるなんて思ってもいなかったわ。頑張ったのね。あなたは私の誇りよ」

感極まったのだろう。夫人は涙声だ。