「フンだ」と付け加えてそっぽを向いたレミリアは、妹の方だ。

背中の中ほどまであるブロンドの髪はゆったりと波打ち、透き通るような白い肌に、さくらんぼのような愛らしい唇。

瞳は南の海を思わせる翠緑色で、頬はふっくらとし、これ以上ないほど麗しい容姿をしているというのに、このご令嬢は性格に可愛らしさが欠けている。

(絶賛反抗期かな……。ううん、私が侍女勤めをするようになった三年前から、レミリア様はずっとこう。たぶん、生まれつきの性格よね。背景に棘だらけの黒バラを背負っているように見える)

対して姉のシンシアは天使の如き清らかな性格で、同じ顔なのに醸し出す雰囲気も妹とは真逆のピュアホワイトだ。

「エマったら、そんなことを言わないであげて。レミリアちゃんは忙しいあなたに迷惑をかけたくないと、頑張って自分で髪を結っていたのよ」

「まぁ、そうでしたか。これは失礼しました。レミリア様のお気持ち、エマは嬉しく思い――」

レミリアがそのような気遣いをしてくれるなんて……とエマが頬を緩めたら、腕組みをした妹令嬢が姉にぴしゃりと言う。