そして今日は王太子からお茶の誘いがあり、先ほど十五時頃にレミリアを送り出した。

ついていかなかったのは、もう大丈夫という安心感からである。

(やっぱり一緒に行けばよかったかな。心配はしてないけど、レミリア様のはにかみ顔を覗き見したかった……)

由奈情報によるとブルロズでは、エンディングを迎える攻略対象が確定した後に、そのキャラとのティータイムが何度かあるらしい。

それは本ストーリーとはあまり関係ないもので選択肢は現れず、プレイヤーの萌えを煽るだけのサービスだ。

お茶中のターゲットは、『可愛いね』『照れるなよ』『好きになりそうだ』などと甘い言葉をかけてくれるらしい。

ゲームでは人気声優がキャラの声を担当しているため、その悩殺ボイスに由奈は鼻血が出そうになったと言っていた。

さらにタッチペンで髪や顔や体をくすぐると、笑ったり優しく叱ったり、官能的な吐息を漏らしてくれたりもするそうだ。

(ああ、由奈が羨ましい。私もブルロズがやりたい……)

前世の未練を抱えつつ、、レミリアと王太子の甘いティータイムを想像してニヤつきながら仕事に励み、時刻は十七時になった。

窓の外は茜色。