転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

内壁に沿って螺旋階段が伸びており、明り取りの小窓が所々に開いていた。

手すりはなく、落ちないように慎重に上り、やっと七階建て相当のてっぺんにたどり着いた。

中央に薪を燃やすための鉄製の大きな籠があって、日中の今は火が消えている。

柱と天井のみで壁のない半屋内の最上階には、人影があった。

「あっ……!」

レミリアは驚きの声をあげた。

海と逆側を向いて、王太子が立っていたからだ。

今日は軽装で、ブラウスに黒いズボンとブーツという服装をしている。

振り向いた彼は眉を上げた。

「レミリア嬢、奇遇だね。こんなところになにしに来た?」

「わたくしは、エマとピクニックに……」

答えながら動悸が加速していく。

心が嬉しがっているのを感じ、王太子に出会えた偶然に感謝して、その直後にハッと気づいた。

(ここに王太子殿下がいることを、エマは知っていたのね。だからおめかしさせて、私だけ上らせたんだわ。言ってくれたらよかったのに……)

「ここへおいで」と誘われて、レミリアは赤い顔で近づいた。

「君の侍女は?」