転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

王太子としての自分の存在が根底から覆される話を、簡単に認めるわけにいかないのだ。

「証拠がない」

冷や汗を流しつつ、彼は乾いた声で言った。

「俺がお前の子だという証拠を見せてみろ」

どうやっても証明できないだろうと思っての指示に、マリアはほくそ笑んだ。

「証拠なら目の前にあるじゃない。亜麻色の髪、青バラのような瞳の色。私とあなたは同じで、ローズ家の中にこの特徴を持つ者も多いわ。国王と王妃はどうかしら?」

クリストファーの中にいよいよ本物の焦りが湧き上がる。

指摘の通り、彼の髪と瞳の色は両親と異なっていた。

疑問に思った時もあったのだが、父親の祖母が彼のような色合いだったと聞いて一度は納得した。

けれども曾祖母の肖像画を確認したら、その瞳は灰色と水色を混ぜたような色で、真っ青に近い彼とは違う。

胸騒ぎを覚えた彼は、その事実から目を逸らし、考えないように生きてきたのだ。

鼓動が早鐘を打ち鳴らし、見ている景色がワントーン暗くなる。

足元の大地が崩壊していくような恐怖を覚えた。

(俺は、どうすれば……)

その時、オズワルドが動いた。