その際に、マリアを見て首を傾げていた。
あんなメイドいたかしら?と言いたげであった
オズワルドは見張るように壁際に控えている。
「いただきます」と紅茶をひと口飲んだマリアは、なにか企んでいそうな笑みを浮かべた。
「今日は打ち明けねばならないことがあってお声をかけました。侍従をお下げになった方がよろしいと思います」
「なっ……」
オズワルドが気色ばんだ。
メイドの分際でなにを言うのかと立腹した様子だ。
「殿下、乳母とはいえ無礼にもほどがあります。この女を摘まみ出す許可をお与えください!」
「待て」
クリストファーは探るような視線をマリアに向けた。
ただの庶民なら怒らせたかと慄くところであろうが、マリアには微塵の動揺も見られない。
真っすぐに見返してくるその瞳には、ある種の覚悟が感じられた。
「オズワルドは下がらせない。ただし、口を挟むな。マリア、話しを聞かせろ」
「わかりました。侍従に知られてもいいと仰るのでしたら、このまま申し上げましょう。あなたの出生の秘密を――」
マリアは二十四年前、十八歳で第一子の男児を出産した。
あんなメイドいたかしら?と言いたげであった
オズワルドは見張るように壁際に控えている。
「いただきます」と紅茶をひと口飲んだマリアは、なにか企んでいそうな笑みを浮かべた。
「今日は打ち明けねばならないことがあってお声をかけました。侍従をお下げになった方がよろしいと思います」
「なっ……」
オズワルドが気色ばんだ。
メイドの分際でなにを言うのかと立腹した様子だ。
「殿下、乳母とはいえ無礼にもほどがあります。この女を摘まみ出す許可をお与えください!」
「待て」
クリストファーは探るような視線をマリアに向けた。
ただの庶民なら怒らせたかと慄くところであろうが、マリアには微塵の動揺も見られない。
真っすぐに見返してくるその瞳には、ある種の覚悟が感じられた。
「オズワルドは下がらせない。ただし、口を挟むな。マリア、話しを聞かせろ」
「わかりました。侍従に知られてもいいと仰るのでしたら、このまま申し上げましょう。あなたの出生の秘密を――」
マリアは二十四年前、十八歳で第一子の男児を出産した。


