布を取らずとも、それが絵画であろうと予想できた。

「また、絵か……」

興ざめしたようにそう言ったのは、ロバートだ。

リチャードは「隠すほどなのだから、相当高価なものなのだろう」と、値段に興味を示す。

ジェラルドだけはワクワクと胸が高鳴っていた。

ここにたどり着くまで長かった。

兄たちが売ってしまった絵を全て盗むのに費やしたのは、約二年。

やっとこの日を迎えられたという心境だ。

その絵をテーブルに置き、そっと覆布を外したら……。

三兄弟の息をのむ音が重なった。

パステル調の淡い色彩で描かれているのは、三人の子供。

ゆりかごの中で笑っているのは赤子のジェラルドで、おどけた顔であやしているのは三歳のリチャードだ。

リチャードの肩を抱き、もう一方の手でゆりかごを揺するのは五歳のロバート。

優しげな眼差しを弟たちに向けている。

柔らかな日差しに、風にそよぐレースのカーテン、この絵には幸せが詰まっていた。

赤子の頃の記憶はないが、競い合う前の幼少期は兄弟仲がよく、兄たちに遊んでもらっていた思い出がジェラルドの中に蘇った。