(あ、あれ? もしかして私、またレミリア様の邪魔をしてしまったんじゃ……)

動揺するエマの後ろでは、レミリアがシンシアにひそひそと話しかけている。

「ねぇ、私たち、お邪魔じゃないかしら?」

「うふふ、そうね。ふたりきりにしてあげましょう」

(待ってください! ダグラスは私の二番推しのキャラだけど、私が恋愛してもバッドエンドは回避できないんですよ!)

エマの心の叫びは届かず、気を利かせた伯爵一家はそっと屋敷内に引き揚げてしまった。

庭にいるのは年頃の男女と翼竜、それと綿犬が一匹。

スモフキンが竜の顔の前に浮かんでいた。

なにやらワフワフと話しかけ、カッと目を見開いている。

巨大な翼竜相手に目力勝負を挑んでいるようだ。

同じ魔力を持った動物ということで、ライバル心があるのかもしれない。

最初は付き合ってあげていた翼竜だけど、すぐに飽きて爪で鼻を?き、あくびをして寝てしまった。

怒ったスモフキンが体当たりを食らわせているが、綿毛の塊では威力ゼロである。

視線をそっとダグラスに戻せば、熱い眼差しを向けられた。