転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

壁の開いていた場所に、今日の獲物、『バラ園の女神』を飾ったジェラルドは、満足げに頷いてから困り顔をする。

「ここからが、問題なんだよな……」

彼の父は絵画収集を趣味としていたらしい。

亡くなる数日前の病床で、大事なコレクションを息子たちに分け与えて、こう言った。

『ある場所に、わしの宝を隠してある。何物にも代えがたい非常に貴重な品だ。その在りかを示す手がかりを、今譲った十八枚の絵画に忍ばせた。協力して謎を解き、宝を探しだせ』

その遺言を守ろうとしたジェラルドに対し、兄たちは違った。

長兄は夢見がちなことを一切口にしない冷めた性格で、絵画への興味も薄い。

次兄は家督を継げないならロランス家を出たいと、とある裕福な伯爵家に婿入りした。

ふたりとも謎解きする気はなく、形見の絵画も早々に売ってしまったという。

ジェラルドは慌てて買い戻そうとしたが、十二枚を一気にというのは資金的に厳しいものがあった。

いくら積まれてもこの絵は売らないという者もいて、それで怪盗になったそうだ。

そう打ち明けた彼はエマに接近すると、その顎をすくって甘い声で口止めする。