転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

この世界にゲーム機は存在しないので、本当のことはどうやって説明していいのかわからないし、転生者と言っても信じてもらえるかはわからない。

これで納得してくれるだろうかと、エマは緊張して彼の反応を窺う。

ジェラルドは拳三つ分の距離でエマをじっと見据えていた。

嘘だと指摘される気がして冷や汗をかいたら、意外にも少年のように目を輝かせて信じてくれた。

「へぇ、その魔力、俺もほしいなぁ。エマちゃん、見かけによらずすごいんだね。ついておいでよ」

ジェラルドは盗品を小脇に抱え、らせん階段を下りていく。

自力で帰れそうにないエマは、大人しくついていくしかない。

塔は大きな屋敷と繋がっており、一階まで下りて薄暗い屋敷の廊下を進み、厳重に鍵のかけられた部屋に通された。

ジェラルドが壁の燭台に火を入れると、ここが書斎であることがわかる。

執務机とソファセット、柱時計に書棚。

どれも使い込まれているが、その古めかしい感じがなんとも素敵だ。

壁には盗品と思われる絵画がずらりと飾られて圧巻であった。