転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

ジェラルドエンディングの可能性が消えてエマはショックを受けているが、これでよかったのかもしれないという気持ちにもなる。

青バラの花束を贈られた時から感じていたけれど、やはりレミリアの心は王太子に向かっているのだ。

ため息をついて現実を受け止めたら、今度は美男美女のラブシーンにときめいた。

(なんて絵になるふたりなの! しっかりと目に焼き付けておかなくちゃ……)

エマは人を掻き分け、レミリアの顔が見える位置まで前に出た。

「あれ? もしかして俺、ふられた?」

怪盗ローズはハハッと笑うと、「まぁ誰でもいいか」とエマを見た。

その腕が伸びてきて、エマをひょいと持ち上げ肩に担ぐ。

「えっ?」

「エマ!」

レミリアの叫びと同時に怪盗ローズは外へ走り出し、バルコニーの柵を飛び越えた。

ここは五階であり、落ちれば怪我どころでは済まない。

悲鳴を上げたエマが目を瞑ると、落ちるのではなく、重力に逆らって上昇していくのを感じた。

そっと目を開ければ、眼下には王城全体が。

すぐに塀を越えて鳥のように街の上空を飛ぶ。

民家の窓明かりが小さな星のようだ。