転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

(レミリア様の身になにが起きたのか、私はわかっている。怖いだろうから助けてあげたいけど、ここは我慢。見守るしかないのよ……)

「なにをしている! 早く明かりを灯すんだ!」

王太子の厳しい声が飛んだ後、すぐに天井のシャンデリアや壁の燭台数か所に明かりが戻った。

「怪盗ローズがあそこに!」

見知らぬ貴婦人が指をさした先は、バルコニーだ。

扉を開けて片足を外に出している怪盗ローズは、マスクで顔を隠し、黒いマントにタキシードと黒づくめの服装だ。

盗んだ絵画を右腕に抱え、左腕でレミリアの腰を捕えている。

ジタバタともがくレミリアに、怪盗ローズは少し笑って言い含める。

「お嬢ちゃん、そんなに怖がらないでよ。すぐに解放してあげるからさ」

レミリアに対しては優しい声を出していた彼が、集まってきた警備の騎士たちを低い声で脅した。

「それ以上近づいたら、このお嬢ちゃんがどうなるか……わかってる?」

騎士たちは怪盗ローズから二メートルほどの距離で、足踏みしている。

すると、「お前らはなにをやっているんだ!」と腹立たしげな声がした。