転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

それまでは、ある貴族が所有しており、何十年も公開されなかった作品である。

それが見られるということで、参加者たちは楽しみにしていた。

その名画だけはもったいぶるように赤いカーテンで隠されており、全員がその前に移動する。

「レミリア様、前に行きますか?」

「人を押しのけるのは嫌。私は皆さんが鑑賞した後でゆっくり見るからいいわ」

けれどもそれは叶わない。

「十六世紀初頭に描かれましたバラ園のビーナスは、かの有名なドナルド・ダ・ベンチの作品です。ごちゃごちゃ言う前にまずはご覧いただきましょう」

講師が笑顔でカーテンを外したら……驚きの声が上がった。

人の間からチラリと見えたのは、絵画ではなく、一輪のバラの花。

盗んだ絵の代わりに赤いバラを置いていくのが、怪盗ローズの手口である。

それは王都中に知れ渡っているため、皆が怪盗ローズが現れたと口々に騒ぎ立てていた。

すると、突如として明かりが消えた。

怖がって悲鳴を上げる女性たちの中に、レミリアの声も交ざっている。