転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

「違うよ。具合が悪いふりをしたんだ。美しきご令嬢を誘い出したくてね」

ブルロズの設定では、サミュエルはなんらかの病を患っていたはずだ。

きっと寿命を縮めるとわかっていながら演奏活動を続けているのだろう。

なぜなら音楽のない人生など、彼にとって死んでいるようなものだからだ。

前世において乙女ゲームを何本もやりこんできたエマなので、なんとなくサミュエルが抱えている事情を推測できた。

(病気のせいで本当は苦しいのに強がって……あっ、選択肢が出た!)

抱きしめられているレミリアの背に被せるように、三つの選択肢が浮かんでいる。

①【脂汗まで滲ませてなにを仰っているの? 今、人を呼んできます】
②【具合は悪くないのですね? よかった。心配してしまいました。あなたの演奏、とても素敵でした。それとあの、恥ずかしいのでお放しください】
③【嘘つきは嫌いです。素敵な演奏を台無しにしてくださってありがとうございます】

どれを選べば親密度が上がるのか。

エマは短い時間で考えを巡らせる。