転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

背中までありそうなストレートの銀髪がサラサラと揺れ、灰色の瞳は一切手元を見ることなく宙に向いている。

肌色は透き通るように白く、どことなくはかなげで、天使か妖精のような神秘的な雰囲気を醸している。

女性たちがうっとりしているのは、彼の音楽性のみならず、美貌に見惚れているからであるようだ。

(天才ピアニストか。貴族ではないけどハイスペック。王太子やジェラルドと並ぶくらいに美形だし……あっ!)

そこでエマはやっと思い出した。

サミュエルが攻略対象キャラのひとりであることに。

(ここで初登場だったんだ。由奈の今の推しはすっかりジェラルド。ジェラルドと王太子のことばかり話していたから、サミュエルの情報をもらっていない。どうしよう……)

二曲を続けて披露したサミュエルは、拍手喝采の中で立ち上がり、お辞儀をしようとして少しふらついた。

顔を上げた彼は一層、白い顔をしている。

(オフ会仲間のSNSには確か、病弱でナルシストという特徴が書かれてあったような……)

エマが腕組みをして記憶を探っていると、レミリアが小声で話しかけてきた。

「あの方、具合が悪そうね。大丈夫かしら?」