転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

振り向けば中背ででっぷりと肥えた腹をし、ブローチや腕輪などの宝飾品をたくさんつけた中年男性が来場したところである。

彼は上機嫌な様子で、手揉みしながら隣りを歩く男と話していた。

(もしかして……)

エマはレミリアに小声で尋ねる。

「あそこで笑っている方を知っていますか?」

「知らないわ。でも、ウォベック公爵じゃないかしら。前にお父様から聞いた特徴と合っている気がするわ」

(ブルロズに出てきた名前だ! 怪盗ローズはウォベック公爵の連れの画廊商として紛れ込む。ということは、あのごますりしている男がジェラルドの変装ね。すごい。別人にしか見えない……)

ゲーム通りなら、画廊商の男の名はセニョル。

猫背気味な姿勢で眼鏡とちょび髭、年齢は四十五歳くらいに見える。

茶色の夜会着は立派だが、貴族に比べると圧倒的に華がなく、エマ並みにモブキャラに見えるのがすごいところだ。

ウォベック公爵は王太子が他の貴族と挨拶中であるのもお構いなしに、片手を上げて声をかけた。

「クリストファー殿下、来てやったぞ。随分と招待客が多いな。盛況でなによりだ」