転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

王太子は微笑して頷いた。

「私も礼を言おう。君の刺繍の腕前は素晴らしい。ぜひ皆にも披露したいと思い、展示しているよ。興味を持って見ている者がいたら、解説してあげるといい」

「はい。そうさせていただきます」

(ものすっごい、いい感じ! レミリア様は可愛らしくもじもじしているし、王太子殿下も好意的。親密度がグングン上昇している気がする!)

半歩下がった位置で見守るエマの口元に、隠しきれない喜びが浮かぶ。

すると、ふいに王太子の視線がエマに向いてクスリと笑われた。

「エマさん、君も楽しんで」

「ありがとうございます!」

挨拶を次の順番の人と替わったエマとレミリアは、端から順に展示物を見て回る。

「ふーん、この画家は風景画も描くのね。色彩が独特。でもすごく綺麗だわ」

真面目に鑑賞しているレミリアに対し、エマは周囲をキョロキョロと見回して落ち着かない。

(怪盗ローズはどこ? 変装がゲームと違っていたら探すのが難しいわね。まさか現れないということはないよね……?)

ジェラルドイベントが発生しないのではないかと不安になった時、入り口近くからワハハと大きな笑い声がした。