転生侍女はモブらしく暮らしたい〜なのにお嬢様のハッピーエンドは私に託されているようです(汗)

ブルロズのジェラルドの趣味は、ロココ調のいかにもお姫様と言いたくなるような華やかで可愛らしいドレスを着た女性であるそうだ。

両者の好みを合わせた結果が、今日のレミリアの装いである。

これを決めるまでに、エマはかなり悩んだ。

対して自分はというと、バルニエ伯爵の晩餐会の時と全く同じ、モスグリーンの落ち着いたドレス。

モリンズ伯爵夫人からの借り物なので、十八の娘にしては地味で、夜会服にしては露出が少なすぎる。

自分のことなどどうでもよく、むしろレミリアの引き立て役になれたらと思い、化粧も白粉を軽くはたいて口紅を塗っただけであった。

その甲斐あってか、挨拶の順番が回ってきて、スカートをつまんで腰を落としたレミリアに、王太子が目を細めた。

「ようこそ芸術サロンへ。今宵のレミリア嬢は一段とお美しい。青バラより価値のある麗しき青を、初めてこの目に映した。君こそ芸術だ」

そんなことを言われたら、ひねくれた令嬢だって頬を染めないわけにいかない。

「ありがとうござます。あの……お贈りくださいました青バラは、我が家に大切に飾っております。直接お礼を伝えられたことがとても嬉しいです」