「似合うわ」とニッコリ微笑んだレミリアに、エマは胸を熱くする。

「なんてお優しい。内面までキラキラと輝くようです……」

性格矯正も成功したのかと喜びかけたエマであったが、そこはやはりレミリアのこと。

「私よりエマの方が変身しがいがあるわよ。続きのファッションショーはエマがやって。私は部屋にこもって本を読みたいの」

ひねくれのひきこもりは健在であるようだ。

その時、リビングのドアが開いてメイドが来客を告げた。

「レミリア様にお客様です」

(レミリア様に……?)

やっと他貴族との交流を始めたばかりのレミリアを、一体誰が訪ねるというのだろう。

レミリアとエマは顔を見合わせて首を傾げたが、取りあえず連れ立って玄関まで行く。

すると玄関ホールに立っていたのは、賢そうな顔に眼鏡をかけ立派なジャケットを着た三十歳くらいの青年と、お仕着せ姿の使用人と思しき男性ふたりである。

従僕は手に五十輪ほどの青バラの花束を抱えている。

青バラは王城でしか育てていないため、エマはハッとした。

(もしかして……)

眼鏡の彼が恭しく一礼して、口を開く。