レミリアは今、五着目に着替えたところである。

バロック調の格式高いイブニングドレスに続いて、今度は貴婦人的アフタヌーンドレス。

お尻の部分に膨らみを持たせたバッスルスタイルのドレスで、よく晴れた日に友人と散歩をして、オシャレなカフェに入って小休憩しているレミリアをイメージした。

引きこもりのレミリアに友人はいないけれど。

レモンイエローのドレスに同色の鍔広の帽子。

どちらにもレースで作ったバラの花の飾りをあしらっている。

手に持つ日傘は、骨組みから一度布地を外し、新品に見えるように染め直した。

観客たちを前にくるりと一周して、ぎこちない笑みを浮かべたレミリアに、エマは誰より拍手喝采を浴びせる。

「レミリア様、可愛いです。最高です。めちゃくちゃ淑女。王都の男性たち全員、虜になっちゃうほどの美女ですよ!」

レミリアだって努力次第で可愛くなれる。

感動のあまり思わず目を潤ませたら、レミリアがエマの前に立った。

「エマだって年頃の貴族令嬢でしょう? あなたも着飾って」

そう言って帽子を脱ぐと、エマにかぶせた。