パールのネックレスにはシルバーのバラのチャームが下がり、揺れている。

リビングのソファには、王城での会議を終えて帰宅したばかりのモリンズ伯爵と、友人との観劇から戻った夫人、シンシアが並んで座っている。

執事のボウマンや従僕、調理人やスモフキンもいて、晩餐時以上の賑やかさである。

着替えさせたレミリアを更衣室から出したエマは、皆の前に立たせてモデルのようなポーズを取らせた。

すると「おおっ」というどよめきと拍手が沸いた。

モリンズ伯爵が機嫌よさそうに言う。

「レミリア、可愛らしいぞ。ピンクのドレスはシンシアの十八番だったが、お前も似合うじゃないか」

伯爵夫人も目を細めて褒める。

「私の娘時代のドレスを今風に作り替えたのね。とても素敵。エマは縫製職人にもなれそうだわ」

このファッションショーや、エマが衣装をリメイクしたのには、きちんとした理由がある。

三日ほど前に由奈に電話をして王太子イベントの詳細を聞こうとしたら、大変な新情報を与えられたのだ。