あなたが私を選んだ理由に、断固異議あり!





「今日はちょっと遅くなるから、晩御飯は先に食べてて。
帰る前にまた連絡するから。」

「はい、わかりました。」

いつもの時間に退社。
樹生さんは遅いってことだから、私は、帰りに近くのスーパーに寄ってお弁当を買って帰った。
家までは、地下鉄で4つ目の駅前のタワーマンションだ。
つまり、樹生さんの実家の隣の駅。
ベリーヒルズのレジデンスに入りたかったらしいんだけど、抽選で外れてしまったんだって。
宝石店の潤さんも外れたって言ってたから、きっとかなりの競争率だったんだろうね。
かなり高いはずなのに、そんなにも入居希望者がいたなんて、びっくりしてしまう。



まだ慣れてないからちょっと緊張するけれど…
何気ない顔で鍵を開けたら、玄関に知らない女性ものの靴があった。



(えっ!?誰?)



恐る恐る、中に入ったら、ちょうど出て来た中年の女性と鉢合わせした。



「わっ!?」

「お帰りなさいませ。奥様ですね?」

「は、はいっ!」

誰?誰?
泥棒とかではなさそうだけど、この人は一体…



「初めまして。家政婦の川北です。」

「え?」

そういえば、これからも家政婦さんには来てもらうってことにしたんだった。



「あ、は、初めまして。
奈美です。」

「奥様、どうぞよろしくお願いします。
すぐにお食事の用意をしますので…」

あぁ、そんなことならお弁当買って来るんじゃなかったよ。
家政婦さんのこと、すっかり忘れてた…!