あなたが私を選んだ理由に、断固異議あり!





「まぁ、小果堂のお菓子じゃない!」

お母さんは、東條さんが持たせてくれたお菓子にとても喜んでいた。
きっとお高いお菓子なんだろうね。
あのビルで売ってるんだもん。



すでに、お父さんも帰って来てて、お母さんが今日のことを早速話していた。



「ベリーヒルズに会社を持ってる人なんだってな。
玉の輿じゃないか。良かったなぁ。」

「見た目もすごくカッコイイ人なのよ。
奈美にはもったいないような人よ。」

「確かに不思議だよな。
そんなにカッコよくてお金持ちの人が、奈美のことを気に入ってくれるなんて。
一体、奈美のどこが気に入ったんだろうな?」

お父さんはそう言って、呑気に笑う。



『普通』なところだよ。
今まで、私みたいになにもかもがごく人並みの凡人がまわりにいなかったから、新鮮に感じてるだけなんだよ…

私は、その事実をお父さんに言えなかった。
お父さんじゃなくたって、誰にも言えないよ、そんなこと。



「ねぇねぇ、どんな指輪買ってもらったの?」

「え?あ…エメラルドだよ。」

「何カラット?」

「さぁ…わからない。
そんなことより、お母さん…お腹すいたよ。ごはんにして。」

「東條さんと一緒に食べて来たら良かったのに。
うちはたいしたものないわよ。」

正直いってお腹はあまりすいていなかった。
というよりも、すいてるんだかどうなんだかよくわからなかった。
ただ、お母さんと話を続けるのが嫌で、そう言っただけだった。