あなたが私を選んだ理由に、断固異議あり!

「あ、これ……」

東條さんが手に持った紙袋を私にくれた。
どうやら和菓子屋さんのものみたい。



「ど、どうもありがとうございます。」

「じゃあ、気を付けて帰ってね。」

「はい。」

テナントビルの前で、東條さんと別れた。
本当は今日のお礼を言うべきなんだけど、なぜだか言いたくなくて…
礼儀知らずな奴だって思われたかな?
それなら、それで良い。
嫌われた方がありがたい。
東條さんの後ろ姿が見えなくなったら、なんだかどっと疲れが出た。



地下鉄に乗り、席に座ったら、今度は放心した。
今日はいろんなことがあり過ぎた。
ついさっきのことが、なんだかすごく昔のことみたいに感じる。
まだ混乱してるのかな。



これから、私、どうなるんだろう?
指輪はなんとか1ヶ月以内に仕上げるって潤さんが言ってた。
で、結納とかやって、結婚式…
でも、結婚式はだいぶ前から押さえないと取れないんだよね。
東條さんのことだから、身内だけで…なんて質素な式はやるはずないもんね。
きっと、豪華なホテルか結婚式場だよね。
まさか、神前結婚式とかはしないよね。
和装は大変そうだから、ドレスの方が…



(ん??)



って、私、何考えてるんだろう!?
だから、結婚なんてしないんだってば!
私たちの間には愛はないんだから。
そんなの、やっぱり駄目だもん。
なんではっきり断らなかったんだろう。