「本当にごめんね。」

車のドアを開けてくれた人の顔を見た時、私の心臓は止まりそうになってしまった。
だって、その人は、まるで芸能人みたいにカッコいい人だったのだから。
ラフな格好をしていたけれど、ラグジュアリー感がにじみ出ている。
ネックレスとか指輪とか、なんだかすごく高級な感じがするよ。



「え…い、いえ。」

途端にしどろもどろになってしまうし、恥ずかしくて顔も上げられない。



「お昼はまだだよね？
お詫びにもならないけど、せめてランチを食べて行ってよ。」

「え？そ、そんな…
車には当たってないんですし、そんなこと…」

「でも、危なかったことに間違いないんだし、君を驚かせてしまった。
いくらなんでも、このまま返すってわけにはいかないじゃない。
だから、お願いだよ…」

それなら、こんな高いお店じゃなくて、もっと安いところで…とは思ったけれど、こんな立派な車に乗ってる人だから、きっとお金持ちなんだ。
そんなつまらないことを言ったら、逆に気分を壊されるかもしれないし…
それになにより、今まで入りたくても入れなかったこのビルに入れるなんて、夢みたい。
厚かましいけど、ここはご厚意に甘えてしまおう。
しかも、すごいイケメンさんだし、こんな機会はもう二度とないだろうから。