「あっ!!」



急に曲がって来た車が、私の体にぶつかりそうになった。
本当に、あと数センチって感じで危ないところだった。



「だ、大丈夫!?」

「え?」

「とにかく乗って!」

私は、腕を掴まれ、車の中に連れ込まれ…



「えっ!?あ、あの…」

「すぐに病院へ!」



(びょ、病院!?)



「ま、待って下さい!
車にはギリギリ当たってません。
ですから、病院は必要ありません。」

「え?そうなの?!本当に?」

「は、はい。本当に当たってませんから…」

「……そうか。良かった。」



(……ん?)



そうか、良かった…って言ったのに、なぜ止まらないの?
それに、今、気付いたけど、すごく立派な車…
席もゆったりと広いし…あ、左ハンドルだ。
なんていう車かはわからないけど、きっと高級な車だね。
って、そんなことじゃない。
降りなきゃ!
私、車にはぶつかってないんだし…



「あ、あの……」



言いかけた時、車はビルの地下に入って行った。
そう、私がついさっきまで見上げていたあのビルだ。
そして、車は地下の駐車場に止まった。