あなたが私を選んだ理由に、断固異議あり!

もうこれで、心配事はなくなった。
二階堂さんも、樹生さんが怒って、もう二度と会わないって言ったらしく、それ以来は電話もかかって来なくなったらしい。
やっと諦めてくれたのかな。
そう思うと、私もほっとした。



「あぁ、今日のワインは特に美味しいね。
最高の気分だよ。」

ほんのりと頬を染めた樹生さんが呟く。



「本当にお疲れ様でした。
私は何も出来ずにすみません。」

「何言ってるの。
前にも言ったじゃない。
これは僕は解決すべき問題なんだって。
二階堂さんは、物分かりが良くてとても立派な人だったよ。
僕も、将来はあんな風になりたいな。」

「樹生さんなら、きっとなれますよ。」

「うまいこと言って…」

樹生さんはそう言って笑うけど、私はお世辞で言ったんじゃないよ。
本当にそう思ってる。
二階堂さんがどんな風に立派なのかはわからないけど、樹生さんは今でも社長としても一人の男性としても本当にしっかりしてると思うもの。
十分、尊敬出来る人だよ。



って、二階堂さんのことがあってから、私、なんだか樹生さんにメロメロになってる??
なんだか恥ずかしいな。



でも、樹生さんと一緒にいられるだけで、本当に幸せなんだよね。
これまでのなりゆきとか、運命とか、玉の輿とか、そういうものがすべてなかったとしても、私は樹生さんが好きだと思う。
だから、今、とっても幸せなんだ。



「何かお腹すいてきちゃった。
食べるものある?」

「あ…甘いものでも良いですか?」

「甘いもの?良いね。」

今日は、実はこっそりと作っておいたものがあったんだ。
早速、食べてもらえる機会が来たとは…



「はい、どうぞ。」

「あっ!」

樹生さんの目は、皿の上のものに釘付けになっていた。



「食べてみて下さい。」

「……うん。」

樹生さんが、それに手を伸ばした。



「……どうですか?」

「うん…この味だよ。
すごく懐かしいな。
君も食べなよ。」

「はい。」

私は、樹生さんと一緒にそれを食べた。
パンの耳を揚げて、砂糖をまぶしただけの素朴なお菓子を。



樹生さんみたいなセレブに、こんなもの、どうだろう?って思ったんだけど、
これなら私にも作れるし、いつか作ってあげたいなって思ってたんだ。
喜んでもらえて良かったよ。



「ありがとう、奈美……」

そう言って、樹生さんは私を抱き寄せ口付ける…
それは、とても甘いキスだった。