それなのに、 「そう思ってんの、歌鈴だけじゃない?」 空っぽになったお皿を片付けていると、蓮くんの声が背中に飛んできた。 くるりと振り向けば、 「……ちょっと、蓮く……、」 ギュッと手首を掴まれて、息をのんだのも束の間。 あっという間に壁際に追いやられて、蓮くんの腕に閉じ込められてしまった。 「ここなら若さんの死角だよ?」 クスッと不敵な笑みを浮かべて、若さんが覗いているであろう方向へ視線をスライドさせた。