「じゃああとひとつだけ聞いてくれる?」 ゆっくりと私の前で腰をおろした。 「蓮くん……?」 すとんと膝をついて、そっと私の手を握る。 「もっと俺に頑張らせて?」 私を見上げる瞳は、温かさで溢れていて…… 「辛いことや苦しいことは絶対あるって思ってるよ。でも、家に帰れば歌鈴がいるだろ?」 私は「うん」と返事をしながら、蓮くんの手を握り返した。 「そんな幸せなこと他にあると思う?」 ふっと柔らかく目尻を下げて淡く微笑んだ蓮くんに、やっぱりまた涙が零れてきた。