家柄や学歴を気にする人間もいるって、パパが言っていたから。


「俺が非難や罵倒に負けると思ってんの?」


私の言いたいことを汲み取ってくれた蓮くんは、


「俺は両親のもとに生まれて後悔なんかしてないし、恥じたこともない。むしろ感謝しかないよ」


穏やかな口調で言いながら宙を仰いだ。

その瞳は煌めいていた。

幼い時の思い出が走馬灯のように駆け巡る。

ずっと一緒に過ごしてきた蓮くんはもう、こんなに立派で……。


「それに俺にとっても好都合。家の名前も、親の七光りも、そんなもん俺には初めからない」


私は蓮くんから目を逸らさずに耳を傾ける。