「歌鈴はちゃんと愛されてるってことだろ」

「わっ……」


私の手からノートを奪うとテーブルに滑らせる。

そして、両手で私の頬を包み込んだ。


「でも、俺には負けるんじゃない?」

「ひゃ、蓮く……っ」


ずいっと自分の顔を近づけてくるから、至近距離で視線がぶつかり合う。

だからまた、心臓が激しく音を立てる。


「琴子さんから歌鈴が海外に連れてかれるかもって電話もらった時、好きすぎてパスポートとろうとしたくらいだよ?」

「へっ、そんなこと聞いてな──」


視界の隅で蓮くんがフッと笑った。

その瞬間、唇を塞がれていて……。